分子ロボティクスシンポジウム2016

2016年10月25‐26日開催「分子ロボティクスシンポジウム2016」のプログラムをお知らせいたします。

分子ロボティクスでは生体分子による「感覚」と「知能」を備えたロボットの創生を目指している.本シンポジウム前半(10月25日)はこのような分子ロボットのドラッグデリバリーシステム(DDS)への適用可能性について,同分野の専門家を交えて議論する.また,後半(10月26日)は人工筋肉を題材に,ロボット,AIおよびナノバイオの専門家の観点から分子ロボティクスへの可能性と期待について議論して頂く。

(世話人 小長谷明彦 (東工大))

入場無料・当日の参加申し込みも可能です。本シンポジウムの参加証でCBI学会大会のポスター会場に無料で入場できます。分子ロボティクス関連のポスターも発表されます。
事前参加登録は、こちらのページからお申し込みできます。

開催場所
タワーホール船堀  小ホール(東京都江戸川区)
開催期間
2016年10月25日(火)~26日(水) 14:00-17:30
主催
新学術領域「分子ロボティクス」
共催
CBI学会 ( CBI学会大会  の共催シンポジウムとして開催)
参加費
無料(CBI学会大会への登録なしで分子ロボティクスシンポジウム には参加可能)

【プログラム】

◆10月25日(火)

14:00–14:30 萩谷昌己(東京大学):「開会の辞」および「分子ロボティクス:その成果のかたち」

新学術領域「分子ロボティクス」も最終年度を迎え,ようやく,その成果のかたちが見えてきた. アメーバ班とスライム班によるプロトタイプ開発が進み,特にアメーバ型ロボットには領域全体の技術が統合されつつある. アメーバ班の成果はこの統合化(DNAナノ技術による垂直統合)に加えて 分子運動アクチュエータの高度化の二つの軸で総括できる. また,スライム班の成果は計算の複雑さと計算場のスケールの二つの軸で総括できる.特に前者の軸では計算場が連続場から離散場へと展開された. 加えて,感覚班では多様なセンサー技術が開発され, 知能班では分子コンピューティングが学習にまで発展された.

14:30-15:00 安永正浩 (国立がん研究センター):「抗体DDS」yasunagasenseis

21世紀はバイオ医薬品の時代と言われている.中でもいち早く臨床応用が達成されて,爆発的に研究開発が進んでいるのが抗体医薬である.さらに欧米では,Antibody-drug conjugate(ADC)やBispecific antibodyなど次世代抗体医薬の開発も盛んである.ADCの場合は,再発性や転移性の難治性がんに対して有効性が示されている点が大きな強みである.抗体はナノサイズの高分子であり,リポソームやミセル等のDDS製剤同様に,EPR効果で腫瘍に選択的集積可能である.さらに,抗原特異的結合姓をもつことで,能動的ターゲッティング能も有する.薬剤のコントロールド・リリース能を有するリンカーをもつADCの場合は,まさしくDDS製剤そのものと言える.我々の取り組みと共に抗体医薬開発のup-to-dateについて報告する.

15:00-15:30 西山伸宏 (東京工業大学):「精密合成高分子材料を基盤するがん診断・治療ナノマシンの創製」nishiyamasensei

精密合成高分子材料の自己組織化により形成されるナノマシンは,薬剤の有効性と安全性を飛躍的に高める基盤技術として注目されている.また,ナノマシンは,核酸医薬のデリバリー,がんの精密診断イメージング,物理エネルギーを利用した切らない手術(ケミカルサージェリー)等の次世代医療への展開も期待されている.本講演では,ナノマシンに関して,これまでに開発を進めてきた高分子ミセルと中心とする最新の研究成果を紹介する.

15:30-16:00 ポスター発表 (1階CBI学会2016年大会ポスター会場)

16:00-16:30 ○村上達也(富山県立大学), Hyungjin Kim, 中辻博貴,福田亮介,延山知弘,杉山弘,今堀博 (京都大学):「リポ蛋白質によるDDS」

高比重リポ蛋白質(HDL)は,我々の体内に存在する約10 nmの粒子であり,脂質と脂質結合蛋白質(apoA-I)からなる.HDLは末梢から肝臓へのコレステロールトランスポーターとして長らく知られてきたが,最近,抗酸化・抗炎症作用など新たな生理機能が発見されている.一方,HDLは組換えapoA-Iとリン脂質を用いて試験管内で大量作製できることから,ドラッグデリバリーシステム(DDS)を含む様々な生物医学分野で利用されている.我々は遺伝子改変apoA-Iを含むHDLの作製・in vitro/in vivo機能評価に世界で初めて成功している.この変異型HDLは疎水性制がん剤を可溶化するだけでなく,様々な光応答性ナノ材料も分散化し,それらの殺細胞活性を増強した.今回,がん治療用DDSに焦点を当て,変異型HDLの可能性を議論したい.

16:30-17:00 瀧ノ上正浩(東京工業大学):「マイクロ液滴の生物物理学による細胞型DNA分子ロボット」

近年,DNAナノテクノロジーを利用したナノメートルサイズの分子ロボットの構築が行われ,新規のバイオナノデバイスやマイクロマシンへの応用が期待されている.しかしながら,DNAの熱統計力学に基づくDNA塩基配列設計を基軸としたDNAナノテクノロジーだけでは,マイクロメートルサイズのシステムを制御して構築するには限界がある.研究発表では,マイクロメートルサイズの液滴の界面を利用したDNAナノテクノロジーの拡張に関して報告する.我々の研究で,ミクロ空間での新奇物理現象の発見によって,従来制御が難しかったマイクロメートルスケールの新たな自己組織化原理が見出された.将来的には,高度な細胞型分子ロボットの構築に応用が可能だと考えられる.

17:00-17:30 佐藤 佑介 (東北大学), 平塚祐一 (JAIST), 川又生吹, 村田智,○ 野村 M. 慎一郎(東北大学):「アメーバ型分子ロボット」

我々は,膜に包まれた細胞サイズの構造として働く分子システム「アメーバ型分子ロボット」を制作している.本機は,人工的にデザインされたDNAによる分子スイッチ(遺伝子発現を伴わない)を用いて,内包したモータータンパク質の動きを制御し,現在の分子状態と分子シグナルの入力に応答して運動モードと静止モードをスイッチできる,という特徴を持っている.また構造材料として生きた細胞と互換性のある分子(パーツとエネルギー)を利用しており,細胞と同様の環境で動作できることから,将来,培養環境での細胞の品質管理やバクテリア駆除,薬剤送達などの用途が考えられる.さらに本機は現在,キットとして研究者向けに配布するための試験を行っており,まったく新しい自律駆動型マイクロ分子ロボットの教育・研究開発評価用のベースモデルとしても役立つものと期待している.

17:30-19:30  ポスター発表(1階CBI学会2016年大会ポスター会場)

 

◆10月26日(水)

14:00-14:45 浅田 稔 (大阪大学):「マイクロダイナミクスから社会的相互作用に至る過程の理解と構築に基づく未来AI・ロボット」asadasenseis

深層学習,BigData, IoTに代表される現在のAIやロボット技術は,目を見張る進展を見せており,シンギュラリティ問題やジョブレスワールドが懸念されている.しかしながら,これらの進展がそのまま継続するのか,再度ブームで終わるのかは,これからのAI・ロボット技術に委ねられている.本講演では,知能の根源的な構造としてのミクロな神経ダイナミクスの可能性を探り,それが社会的相互作用などのマクロな行動レベルにどのような影響を及ぼすかなどを探り,未来の未来AI・ロボット技術の基本課題を議論する.

14:45-15:30 川合知二 (大阪大学):「バイオナノ工学からの分子ロボットへの期待」kawaisenseis

今,超スマート社会の時代を迎えて,IoT技術の進展と普及が望まれている.センサ・アクチュエータ・情報処理の3要素が巧みに組み合わされたエッヂデバイス・システムの実現がそのカギを握っており,特に,ナノスケールにまで超小型化された分子ロボットシステムやその部品としての人工筋肉の役割は大いに期待されている.広くバイオナノ工学の立場から分子ロボット実現への課題と展望について講演する

16:00-16:45 中島秀之(東京大学):「知能の作り方」

私は知能を「情報が不足した状況で適切に処理する能力」と定義している.これに対するアプローチの要点は以下の二つである:nakajimasenseis
(1)研究において虫の視点を採ること.自然科学に要請されている客観的な外部視点ではなく,システム内部に視点をとるというのが工学の要点である.ただし,工学というのは自然科学に対峙するものではなく,それを一部に含む方法論である.(2)システムが環境を利用するようにデザインすること.特に「環世界」という考え方を採用することにより,環境に対して能動的に働きかけてそれを利用することができる.

 

16:45-16:50 関根 久プロジェクトマネージャ(NEDO) : 来賓ご挨拶

16:50-17:20 小長谷明彦(東京工業大学):「アメーバ型分子ロボットから分子人工筋肉へ」

分子ロボティクスは生体分子による「知能」と「感覚」を備えたロボットの創生を目指している.これまでに,新学術領域研究「分子ロボティクス」(2012-2016年度)において,「アメーバ型分子ロボット」の研究開発を進めてきた.「生体分子を用いたロボットの研究開発」(NEDO次世代人工知能・ロボット中核技術開発<革新的ロボット要素技術分野>2016年度採択テーマ)においては,アメーバ型分子ロボットの研究で培ったDNAオリガミ技術,微小管と分子モーターの相互作用による集団運動制御技術,実時間シミュレーション技術を応用して,人工サルコメア構造を用いた人工筋肉の研究開発にチャレンジする.本講演では,分子ロボティクスの現状と分子人工筋肉に向けた課題と展望について述べる.

17:20-17:30  山本 拓(関西大学):「関西大学イノベーション創生センターについて」

17:30 小長谷明彦(東京工業大学):「閉会の辞」

17:30-18:30  ポスター発表 (1階CBI学会2016年大会ポスター会場)

18:30-20:30  懇親会(2F「瑞雲」にて:懇親会費(有料)は別途CBI2016年大会受付にてお支払いください)

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