領域代表のあいさつ

hagiya
新学術領域「分子ロボティクス」領域代表
東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授
萩谷 昌己

2012年に始まった新学術領域「分子ロボティクス」も、2017年末までの5年間の研究期間の最後のステージに入りつつあります。現在、分子デバイスをシステマティックに統合して、ボトムアップ・アプローチにより分子ロボットを実現するために、多様な分子デバイスの反応条件の統一化から、分子ロボットを構築するための新しいパラダイムの提案に至るまで、最大限の努力を続けています。

領域の当初に計画したように、分子ロボットの二種類のプロトタイプ、すなわち、アメーバ・ロボットとスライム・ロボットの開発を進めています。アメーバ・ロボットはリポソームの内部もしくは表面に分子デバイスを配置して統合するもので、その開発における現在の主な課題は、分子デバイスの反応条件を統一化し分子デバイス間のコミュニケーションを加速することです。スライム・ロボットは、ゲルで作られたビーズもしくはカプセルが自己集合し互いに通信することによって実現されるセルオートマトンとその拡張モデルに基づいています。スライム・ロボットの開発における現在の課題は、ゲル・ビーズの状態を実装し、ビーズを越えて拡散する分子によってビーズ間のコミュニケーションを実現することです。

本領域の開始に際して、分子ロボットの四世代に亘る進化を分子ロボットの将来ビジョンとして描きました。アメーバ・ロボットとスライム・ロボットはその第一世代と第二世代に相当します。第三世代(多胞ロボット)と第四世代(ハイブリッド・ロボット)は、将来の研究プロジェクトの目標と考えていました。しかし、スライム・ロボットは既に多胞性を有していますし、プロトタイプ・ロボットと電気や光などの他のメディアとのハイブリッドも検討しつつあります。これらの研究の方向性はプロトタイプ開発の自然な結果であり、我々の将来ビジョンが適切だったことを示しています。

分子ロボティクスにおいて、ボトムアップ構築の側面を強調し過ぎることはありません。実際に、プロトタイプ・ロボットの開発のために数々のボトムアップ手法を開発して来ました。しかし、そのようなボトムアップ手法は、MEMSをはじめとする従来のトップダウン手法と組み合わせることにより、さらに実用的になると考えられます。

いままさに分子ロボティクスは確固たる学術分野と成りつつあり、今後他のテクノロジーと融合しながら科学技術の様々な分野に応用されて行くと確信しています。

  • ハイライト

  • イベントリスト

    2017年予定
    1月22日(日)分子ロボティクス研究会/JST分子ロボット倫理合同研究会(東工大田町CIC)「倫理について」
    2月11日(土)分子ロボティクス研究会/JST分子ロボット倫理合同研究会(東工大田町CIC)「医薬品開発との接点について」
    3月11-13日(土-月)最終領域会議(東京大学小柴ホール)
    7月15日(土)最終公開シンポジウム(東京大学伊藤国際学術研究センター)
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